玄米は栄養価が高く、健康志向の方々にとって人気が高く注目を集めています。
しかし、白米と比べると食感が硬く、炊きにくいというイメージを持たれる方もいるかもしれません。
この記事では、炊飯器や土鍋を使った玄米の美味しい炊き方を詳しくご紹介します。
編集部
初心者の方でも簡単に、本格的な炊き方を実践できる方法を教えますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
玄米と白米の違い
玄米と白米には、栄養価や炊き方に大きな違いがあります。
まずは、その違いについて詳しく見ていきましょう。
栄養価の違い
玄米は、精米過程を経ていないお米のことを指します。
一方、白米は精米の過程によって栄養豊富な部分が取り除かれています。
本来は精米で取り除かれる栄養豊富な胚芽や糠といった部分が、玄米には残っているのです。
以下、玄米と白米の栄養価の比較表です。
栄養素 | 玄米 | 白米 | 玄米の特徴 |
---|---|---|---|
カロリー (100g当たり) | 約350kcal | 約356kcal | やや低め |
タンパク質 | 6.8g | 6.1g | 白米より多い |
脂質 | 2.7g | 0.9g | 3倍以上 |
炭水化物 | 74.3g | 77.6g | やや少なめ |
食物繊維 | 3.0g | 0.5g | 6倍 |
ビタミンB1 | 0.41mg | 0.08mg | 5倍以上 |
ビタミンB2 | 0.04mg | 0.02mg | 2倍 |
ビタミンE | 1.4mg | 0.1mg | 14倍 |
ナイアシン | 6.3mg | 1.2mg | 5倍以上 |
カリウム | 230mg | 88mg | 2.6倍以上 |
マグネシウム | 110mg | 23mg | 約5倍 |
亜鉛 | 1.8mg | 1.4mg | 約30%多い |
鉄分 | 2.1mg | 0.8mg | 2.6倍以上 |
フィチン酸 | 含有 | ほとんどなし | 抗酸化作用あり |
γ-アミノ酪酸(GABA) | 含有 | ほとんどなし | 血圧低下作用あり |
ご覧のとおり、玄米は特にビタミンB群とビタミンEが白米と比べて豊富に含まれており、ミネラルに関しても、カリウムやマグネシウム、亜鉛、鉄分などのミネラルが白米より多く含まれていることが分かります。
さらに、食物繊維については、白米の約6倍の食物繊維を含んでおり、腸内環境の改善にも効果が期待できます。
また、玄米にはフィチン酸やγ-アミノ酪酸(GABA)など、抗酸化作用や血圧を低下させるといった作用を持ち、健康に良いとされる成分が含まれています。
食感と味の違い
玄米と白米では、食感や味にも大きな違いがあります。
特徴 | 玄米 | 白米 |
---|---|---|
食感 | ・もちもちとした弾力がある ・噛みごたえがしっかりしている ・粒感がはっきりしている ・外側に若干の硬さがある ・噛みごたえがあるので咀嚼時間が長くなる | ・やわらかくてなめらか ・さっぱりとした口当たり ・粒と粒がくっつきやすい ・咀嚼がしやすい ・食感は軽い |
味 | ・香ばしい風味がある ・甘みと旨味が強い ・わずかに苦味や渋みがある ・米本来の素朴な味わいが強い | ・あっさりとした味わい ・淡白でクセがない ・軽い甘みがある ・他の食材の味を引き立てる ・幅広い料理に合う |
炊き込みご飯 | 具材の味が染み込みやすい | 具材の味がまろやかに広がる |
おにぎり | 形が崩れにくく、噛むほどに味わいが広がる | 柔らかくまとまりやすい |
炒飯 | パラパラとした食感と香ばしさが際立つ | 油との相性が良く、軽い食感になる |
経時変化 | ・時間が経っても硬くなりにくい ・冷めても美味しさを保つ ・冷蔵後も食感が回復しやすい | ・時間とともに硬くなりやすい ・冷めると食感が変化しやすい ・冷蔵後はパサつきが残りやすい |
炊き込みご飯やおにぎりなどにした場合でも、白米とは食感や風味が変わるのが特徴です。
好みに合わせて玄米を使ってみてもいいかもしれませんね。
炊き方の違い
玄米と白米では、炊き方にも違いがあります。
項目 | 玄米 | 白米 |
---|---|---|
浸水時間 | 常温で5〜6時間が目安(夏8時間、冬12時間) | 30分程度 |
水加減(米1合あたり) | 1.5〜2合の水 | 1.1〜1.2合の水 |
炊飯時間(炊飯器使用時) | 60〜90分程度 | 30〜40分程度 |
火加減 | 低めの温度でじっくりと | 比較的高温で短時間 |
炊飯器のモード | 玄米モード(専用) | 標準モード |
土鍋での炊き方 | 沸騰後15〜20分加熱、15分蒸らし | 沸騰後10分加熱、10分蒸らし |
玄米と白米の炊き方で大きく異なる点は、浸水の時間です。
玄米は白米と比べて硬いため、水分を吸収しにくい特徴があります。
そのため、美味しく炊き上げるためには十分な浸水時間が必要となります。
また、水加減も白米が米1合あたり1.1〜1.2合の水で済むのに対して、玄米は1.5〜2合と多めの水が必要です。
編集部
炊飯時間も玄米は白米より時間がかかりますが、手間ひまをかけることが美味しい玄米を炊くためのコツとなります。
美味しい玄米の炊き方
玄米を美味しく炊くコツは、水加減と浸水時間を正しく行うことにあります。
以下では、炊飯器と土鍋それぞれの炊き方を詳しくご紹介しましょう。
玄米を炊飯器で炊くときの炊き方
炊飯器が使えれば、比較的簡単に玄米を炊くことができます。
炊飯器には玄米モードが搭載されているものが多くあるので、ぜひ活用しましょう。
- STEP
玄米の計量と洗米
まずは、食べたい量の玄米を計量します。
一般的には、1人あたり0.5〜1合(約75〜150g)が目安となります。
計量した玄米はザルに入れ、水でよく研ぎます。
汚れを落とすために玄米は白米よりも強めに研ぐ必要があります。
水がきれいになるまで3〜4回程度研ぎましょう。
- STEP
水に浸す
玄米は白米よりも長時間の浸水が必要です。
最低でも5〜6時間を目安に、できれば夏は8時間、冬は12時間程度浸水させましょう。
浸水時の注意点- 夏場は雑菌の繁殖を防ぐため、冷蔵庫で浸水させるのがおすすめ。
- 水は玄米が隠れる程度まで入れましょう。
- STEP
水加減
水に浸した後、玄米を炊飯器の内釜に移し、新しい水を入れます。
水の量は玄米の1.5倍が目安です。
ポイント- 例:2合(300g)の玄米なら、水は450mlになります。
- 炊飯器に玄米用の目盛りがある場合は、それに合わせて水を入れましょう。
- STEP
炊飯
炊飯器の玄米モードを選択し、炊飯を開始します。
玄米モードがない場合は、通常の炊飯より長めの時間をかけて炊きましょう。
- 炊飯時間の目安:60〜90分程度
- STEP
蒸らし
炊き上がったら、10〜15分程度蒸らします。
その後、全体をほぐして余分な水分を飛ばします。
玄米を土鍋で炊くときの炊き方
土鍋で炊くと、より香り高い玄米ご飯を楽しむことができます。
編集部
手間はかかりますが、その分美味しさも格別です。
- STEP
玄米の準備
さきほどの炊飯器で炊く場合と同様に、玄米を計量し、よく研いで浸水させましょう。
- STEP
土鍋に玄米と水を入れる
浸水させた玄米を土鍋に移し、新しい水を加えます。
水の量は玄米の1.5〜1.8倍程度が適切です。
- STEP
加熱
中火で加熱し、蓋を閉めてしばらく待ちましょう。
蓋から蒸気が出てきたら弱火にして、15〜20分程度煮ます。
途中で蓋を開けてみて、1〜2回ほど、底から全体をかき混ぜましょう。
- STEP
蒸し
火を止めて、そのまま15分程度蒸らしましょう。
蓋を開けてほぐし、さらに5分程度蒸らします。
玄米を美味しく炊くためのコツ
玄米をさらにおいしく炊くためのコツをいくつかご紹介します。
- 玄米の品質を確認する
- 浸水時間を調整する
- 水の質にこだわる
- 少量の塩を加える
- 玄米の炊き込みご飯にチャレンジする
玄米の品質を確認する
新鮮な玄米を選ぶことが美味しく炊くための始まりです。
精米後1年以内の玄米を使うのが理想的です。
浸水時間を調整する
季節や室温によって浸水時間を適宜調整します。
夏場は雑菌の繁殖を防ぐため、常温で置くことはせず、冷蔵庫での浸水をおすすめします。
水の質にこだわる
硬度の低い軟水を使用すると、よりふっくらとした仕上がりになります。
もし可能であれば、ミネラルウォーターや浄水器を通した水を使用するのもよいでしょう。
少量の塩を加える
玄米1合あたり、小さじ1/8程度の塩を加えることで、玄米の味がさらに引き立ちます。
玄米の炊き込みご飯にチャレンジする
玄米は様々な具材と相性が良く、野菜や豆、キノコ類などを加えて炊き込みご飯にすると、栄養バランスも良く、より美味しくなります。
玄米の保存方法
炊いた玄米の保存方法も美味しさをキープするためには重要となります。
正しく保存することで、さらに美味しく食べることができますよ。
冷蔵保存
炊いたばかりの玄米は、完全に冷めてから密閉容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
冷凍保存
長期保存したい場合は冷凍がおすすめです。
- 1食分ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れます。
- 空気が残らないように最大限に抜いて密閉します。
- 冷凍庫で保存します(1ヶ月程度保存可能)。
解凍方法
- 自然解凍の場合:冷蔵庫に一晩置いて解凍をしましょう。
- 電子レンジ解凍の場合:ラップをしたまま500Wで2〜3分加熱します。
玄米をおいしく炊こう!
玄米を美味しく炊くコツは、十分な浸水時間と適切な水加減にあります。
最初は少し手間がかかるように感じるかも知れませんが、慣れてくれば簡単に美味しい玄米ご飯ができます。
栄養価が高く、食物繊維も豊富な玄米を毎日の食事に取り入れることで、健康的な食生活が期待できるでしょう。
編集部
また、炊飯器や土鍋を使って、玄米特有の香ばしさや、もちもちとした食感を楽しんでみてください。